独自培養技術で健康食品用素材開発へ

 バイオベンチャー企業のサウスプロダクト(うるま市、伊波匡彦社長)は、緑藻に含まれるカロテノイドの一種「シフォナキサンチン」を培養する独自技術を使って、健康食品や化粧品向けに素材製品の開発を始める。3年後の製品化が目標。シフォナキサンチンには肥満予防効果や白血病に対する抗腫瘍(しゅよう)作用があることが研究で明らかになっており、同社は素材開発を通して機能性の認知を広め、国内外での新市場創出を目指す。

 同じカロテノイドの仲間としてはトマトに含まれるリコピンやカボチャに含まれるベータカロテン、モズクに含まれるフコキサンチンが知られている。これらには抗酸化作用や抗肥満作用があり、多くの化粧品やサプリメント商品に使われている。最近では、アスタキサンチンという新しい活性素材の認知が広まり、高機能化粧品や健康食品の有効成分として市場が急速に拡大している。

 シフォナキサンチンは海ブドウやモツレミルなど一部の緑藻類とプランクトンが持つ希少なカロテノイド。モズクのフコキサンチンと同じような生理活性を持ちながら、その強さはシフォナキサンチンの方が高いという研究報告もあり、効率よく採取する技術の確立が課題だったという。

 サウスプロダクトは沖縄近海の緑藻30種の中からモツレミルを選抜。独自の培養技術で、シフォナキサンチンの含有量が緑藻から直接抽出する場合の10倍に増えることが実証された。

 培養技術を確立したのは世界でも同社のみといい、大量に培養できる技術やシフォナキサンチンの純度を上げる分離精製法の開発に成功すれば、幅広い分野で新たな市場が切り開けるとみている。伊波社長は「1カ月間で100倍の量に増やせる培養技術が強み。原料を安定的に安く提供できる体制ができれば、アスタキサンチンの市場拡大と同じようなビジネスモデルを築くことができる」と意気込みを語った。

過去、孫正義はもっと過激だった

 11月19日発売の週刊東洋経済の巻頭特集は『ソフトバンクの世界作戦』。久しぶりのソフトバンクに関する巻頭特集だ。調べてみると、2006年にボーダフォン日本法人を買収した際につくった『ソフトバンク奇襲の成算』が最後だった。

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 今回の特集のために孫正義社長が本誌の取材に応じたのは11月7日のこと。2010年11月以来、2年ぶりだ。変化球のような質問をしても、言いよどむことなく理路整然と答える様は、1997年に最初にインタビューした時からまったく変わっていない。「何をどのように話すべきか」という引き出しが頭の中にいくつも用意されており、ストーリーは練りに練られている。


 何度会っても感心するのは、相手が誰であろうとほとんど態度を変えないことだ。政治家であっても、一介の記者であっても、使い分けのようなことはしない。人の目をまっすぐに見て話を聞き、自分がしゃべるときには、相手の手元あたりを見ながら話をする様子をみるにつけ、生真面目だし、非常にフェアだと思う。


■ 孫正義とはどのような男か


 私が確信を持っていえるのは、「裏表のない、ピュアな心の持ち主」ということ。言論界には「アンチ孫」も多く、言いがかりのような批判も多いのだが、色メガネは外すべきだろう。


 孫社長が言っている内容には長年にわたってブレがない。要するに、昔から「世界一」「世界制覇」を目指しているのだ。ただ物言いは今のほうが静かで、おとなしい。10年前のほうがはるかに攻撃的で、数倍面白い。


 そこで、今回のインタビューの発言内容を、10年以上前のインタビュー内容とオーバーラップさせてみよう。これぞ温故知新。昔の発言を知っていれば、実は「スプリント買収」は、あまりサプライズではないのである。 


 なお、10年前の発言内容(太字)は2000年発刊の拙著『孫正義の将来』から引用している。


 ■その1 「追い貸しはしない」


 今回のインタビューで孫社長は「スプリントに対して絶対に追い貸しはしない」と発言している。これは今回のインタビューで初めて明かしたことのひとつだ。


 が、これは過去の発言を紐解けば、想定内の回答だ。1999年1月7日に、「もしグループ会社が新事業をやるためにニューマネーが欲しいといったら出すか」という質問に対し、次のように答えている。


 「その会社の価値が増えると思ったら、こちら側から出資、増資していきます。でも相手が欲しいと言ってきても入れたりはしません。相手が欲しいか欲しくないかは僕にはまったく関係ない。こちらが新たにカネを入れることによって、入れたものが3倍、5倍に増えるのか、あるいは増えないのか、興味はそれだけです」


 ■その2 「アメリカへ行く」


 米国の通信会社を買収したことをサプライズに感じた読者も多いだろう。が、もともと孫社長はバリバリのアメリカ志向だ。同じ99年のインタビューで「(インターネット事業で海外展開する場合には)アメリカではなくアジアに行ってもいいのでは? 」と振ってみたが、この当時はアジアにはほとんど興味がなかった。


 「アメリカが(インターネットの)一番のメッカだから、そこでガーッとやりぬく。そうすると、世界に、天下に号令をかけられるわけです。局地戦でなんぼ田舎の総大将になっても、天下の中心をとられたらオセロのように一発でひっくり返っていくわけですよ。ローカルのサクセスはロングタームのサクセスになかなかなりえない。本丸を押さえなきゃいかん」

30代で始める「ノマド・トレーニング」

 「どこでも自分の力でやっていける能力の持ち主=ノマド」ですから、会社員であっても独立する人であっても、ノマド・トレーニングをしておいて損はありません。実際はノマドにならないとしても、鍛えておいたほうがいいことばかりです。どれほど業績のいい会社であっても、5年先は誰にもわからないというのが現実なのですから。

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 30代のビジネスパーソンにおすすめの5つの「ノマド・トレーニング」がありますので、簡単に紹介しておきましょう。


 (1)マルチキャリアに挑戦する


 ノマドとは、とらわれない働き方である以上、「本業/副業」といった概念からも自由です。いくつかの仕事を同時並行でこなす人も少なくありませんし、私自身、ベンチャー企業への投資および育成、会社経営、コンサルティング、大学講師、執筆といった多岐にわたるビジネスを、日本、ハワイ、サンフランシスコで行っています。


 今後、ノマドをめざす人であれば、会社員のうちからトレーニングとしてマルチキャリアに挑戦するといいでしょう。また、最近は多くの企業で副業規定が緩やかになりつつあります。


 会社員であっても、第2、第3のビジネスを持つことが珍しくない時代が来るということです。会社が絶対のセーフティネットでなくなるのですから、マルチキャリアは万人の課題といっても過言ではありません。自分の能力を売って稼ぐことがどれほど大変かを実感する意味でも、30代でトライすべきです。


 具体的なトレーニングとして私がおすすめするのは「副業」ならぬ「複業」をすること。その際には、「(1)競合他社での複業、(2)本業がおろそかになる複業、(3)時給の複業」の3つはNGです。こうしたパターンに陥るのは、目先の稼ぎに飛びついてしまうからです。


 報酬にとらわれず、もっと長期的な視点で、自分の能力を高めるためのトレーニングをしましょう。時間を有効活用できて、発想が広がるようなものを選びましょう。自分の本を出す、情報をネットで売るなど、本業と相乗効果が出る複業を選べば、たとえ報酬は少なくても有効なトレーニングとなります。
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