京都市内で行われる観光行事の会場で企業が商品を売り込もうとする動きが出てきた。17日まで東山一帯であったライトアップ行事「京都・東山花灯路」で高級外車が登場し、「都をどり」の開幕を前にした祇園甲部歌舞練場(東山区)でシャンパンをPRする催しがあった。集客力のある京都の催しを商機と捉えているようだ。

 10日間で120万人以上を集めた今年の東山・花灯路。期間最後の週末となった16、17日の日中、会場の一つである知恩院三門前(東山区)の広場に白い高級車が展示された。米国のベンチャー「テスラ・モーターズ」製の新しい電気自動車。東京の直営店以外での公開は初めてという。

 社員から熱心に説明を聞いていた、左京区の会社役員西村瑞樹さん(56)は「歴史ある建物と最先端の技術との対比が興味深い」と話した。

 知恩院に環境行事の実施を依頼されたPR会社が、車の展示を企画した。京都・花灯路推進協議会によると、催しの協力企業以外の宣伝に会場が使われたのは嵐山花灯路を含む計19回で初めてという。会場には別の車会社の電気自動車2台も展示した。「いずれの社も環境都市のイメージが強い京都で商品を浸透させる絶好の機会と捉えた」(PR会社)という。

 祇園甲部歌舞練場では16日夜にフランスのシャンパン「ヴーヴ・クリコ」をPRする催しがあった。東京の酒類輸入販売業者が4月に始まる都をどりに先駆け、「一足早い春の気分を」と初めて開いた。薄紅色に照らされた庭園などで来場者に舞妓がシャンパンを注ぎ、料亭など18店の料理を1品500円で提供した。「和の世界との意外性を狙った」という。

 市観光MICE推進室は「観光行事の趣旨に即した内容であれば、集客への相乗効果につながる」としている。