野洲川の伏流水を活用したワサビの栽培に、滋賀県守山市中町の共同作業所「就農ベンチャー協会 びわこ板倉ファーム」が取り組んでいる。湖国でのワサビ生産は珍しいといい、8月上旬の初出荷に向け障害者たちが日々の手入れに汗を流す。

 7年前からワサビ栽培法の研究を続けてきた地元の企業と、神戸市で共同作業所を運営する多田佳史さん(37)らが協力、障害者らの就労の場づくりなどを目指し、今年3月に同作業所を立ち上げた。

 守山市川田町の約500平方メートルの休耕田に縦、横それぞれ約1・2メートル、深さ約30センチの、水はけに工夫を凝らしたプラスチック製の箱約60個を並べ、伏流水を専用の配水管で流し込んで育てる。守山、野洲、栗東の3市に住む障害者8人が「農業訓練生」として、ワサビの地下茎の成長を促すため葉を取り去る作業や、配水施設の調整などの作業に当たっている。

 大阪や神戸の料亭などからワサビを仕入れたいという問い合わせもあるといい、同作業所事務長の多田さんは「伏流水が湧き出る、という恵まれた環境を生かして、地元の特産物にできれば」と話している。