米国家安全保障局(NSA)の年間予算526億ドルの一部は、暗号を解読し、通常のインターネットトラフィックを解析することのできる「画期的な暗号解読機能」のための財源として要求されている。Edward Snowden氏がThe Washington Postに暴露した新たな文書によって明らかになった。


 問題の文書は「Fiscal Year 2013 Congressional Budget Justification」(2013会計年度予算要求説明書)(「Black Budget」と呼ばれる)で、その4ページ目には「(前略)敵対者の暗号を解読し、インターネットトラフィックを解析するための画期的な暗号解読機能に投資している」と記されている。


 Black Budgetに記載されていることから、この投資は米中央情報局(CIA)の独立系ベンチャーキャピタル投資企業であるIn-Q-Telとは別のものと考えられる。


 The Washington Postによると、ハイテク監視を含む諜報インフラに対する投資が大きく増加していることがこの予算から見てとれるという。Signals Intelligence(SIGINTとして知られる)では、「情報過多」に対処するプロジェクトだけで4860万ドルが投じられており、「Consolidated Cryptologic Program」(CCP:統合暗号解読プログラム)の名の下、3万5000人弱もの人材が雇用されている。このグループは、NSAや、米国統合軍の監視およびコード解読部門といった複数の機関に及んでいる。


 今回の文書では、複数の機関が互いの領域であると認識される分野に踏み込む、複数機関にまたがった連携が明らかにされている。CIAは、「物理的なアクセスの必要を最小限に抑えるか、なくす」追跡システムの構築を計画しており、NSAは、監視対象者の近くにセンサを設置することで、グローバルな通信ネットワークを回避する容疑者に同局が悩まされずに済むようにする「リスクの高い秘密工作」に取り組んでいる。


 この予算要求説明書は2012年に作成されたものであるため、注目を集めたWikileaksによる数回の情報流出を受けて、必要なコンピュータスキルを持つ「ハイリスク、ハイリターン」の請負業者、つまりEdward Snowden氏のような人物を詳しく調査しようというNSAの2013年の計画が示されている。Snowden氏は文書を複製し、同機関が怪しい人物の排除を開始したところでそれらを暴露しようと準備していたとThe Washington Postは報じている。


この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。