東日本大震災からの復旧・復興で明らかになった課題解決に向け、ゼネコン各社が新技術の実用化を加速させている。清水建設は、津波避難ビルへの改修工法を開発。大林組は、藻類を利用し除染作業水を再利用できる装置を搭載した車両を製品化した。各社とも南海トラフ地震など今後の大災害に備えた対応策として提案・普及させる。


 清水建設は、大津波から人命を守ることを想定したビル改修工法を開発した。既存のビルを津波被害に耐えられるようにビルの周りに「コの字」型の鉄骨部材を増築。ビル屋上に避難スペースを設け「津波避難ビル」にリニューアルする。


 東日本大震災では津波により東北3県を中心に太平洋沿岸部の広い範囲が水没、多数の人命が奪われた。南海トラフ地震では高さ30メートル以上の津波が生じるという政府試算もある。清水建設の東條洋専務は、今回のビル改修工法について「国内にある既存ビルを『避難ビル化』すれば、津波から命を守れる」と開発の意義を強調する。


 普及に向け、追い風も吹く。安倍晋三政権の国土強靱(きょうじん)化計画を受け、国土交通省の来年度予算概算要求には、市役所など公共施設の「避難ビル」化を推進する関連施策が盛り込まれた。


 同社によると、今回の工法でビルを建て替えると「コストは5割程度低くなる」(技術担当幹部)。4階建てビル(高さ14メートル、延べ床面積1200平方メートル)を高さ15メートルの津波に耐えられるように改修した場合、工費は約2億5000万円で済むという。同社は低コストも売りに、年間10件以上の受注を目指す。


 大林組は、原発事故で汚染された被災地の道路を効率的に除染する特別車両をベンチャー企業などと共同開発した。業界で初めて、除染作業車に水処理装置を搭載。藻類の力を使い、除染で使用した洗浄水を国の基準で放流しても良い水質までに浄化し再利用する。作業時間も新型作業車を使えば10分の1程度に短縮できるという。


 この車両は9月末までに、福島県郡山市の道路除染作業に12台を導入する。同社は「決してもうかる事業ではないが、被災地の早い復旧・復興の役に立つのがゼネコンの使命」と話している。