大切なお金を貯めたり、借りたりする金融機関である銀行にとって、信頼感は必要不可欠であり、“堅い”イメージは重要な訴求ポイントだ。しかし利用者にしてみれば、それだけでは息苦しい。そこで最近は、他行との差別化や、利便性、親しみ感のアップを図るため、新たなサービスを展開する銀行が増えている。


 郊外の人気ファストフード店舗なら、銀行の支店にあっても便利であり、新規顧客の獲得など営業面でもプラスだと考えたのは「大垣共立銀行(本店:岐阜県大垣市)」。同行は今年4月に、銀行の空白地域であり、移動手段に車を使うことも多い新興住宅街の愛知県長久手市長湫(ながくて)エリアに、ドライブスルー型店舗を同時に3カ所オープンさせた。国内金融機関では初となるこの試み、各店舗でのサービスも利用者の使い勝手のよさを追究している。例えば、「ドライブスルーながくて出張所(行員数9名)」の場合は、ATMはもちろん窓口も年中無休だ。また窓口では、キャッシュカードがあれば印鑑の捺印や伝票記入も不要となる対応も実施している。


 また、ビジュアル面他に心理学を応用した店舗づくりを始めるのは「千葉銀行(本店:千葉県千葉市)」だ。店舗内の動線、使用する照明やサインといった内装面からBGMにいたるまで、来店者の心地よさに徹底的にこだわる。監修には、千葉大学大学院発のベンチャー企業である「BB Stoneデザイン心理学研究所(千葉県千葉市)」があたり、第1号店となる「ちばぎんひまわりラウンジ津田沼(千葉県習志野市)」の営業開始は、今年12月の予定だ。


 ATMが“支店代わり”の「セブン銀行(本社:東京都千代田区)」が常にこだわるのは、誰にとってもやさしいATMであることだ。2007年には、視覚障害者に対応する「音声ガイダンスサービス」を実施した。一般向けには、画面の見やすさにこだわり、2013年8月末に作業完了。白い背景で文字を大きくして読みやすくし、説明文を簡潔にすることで文字量を減らした。また、アイコンを点滅させることによる注意の喚起や、デザインに丸みを持たせるなど、随所に細やかな気配りを施した。さらに、印字される利用明細もシンプルになり、確認のしやすさは格段に向上した。


 これまでどこかよそよそしい雰囲気で、サービスも横並びが一般的だった銀行にも、変化の兆しが見える。これからの銀行はサービス面でも他行との差別化を図っていく必要があるのかもしれない。



(加藤 秀行 、 阪神 裕平)