●集中連載「プロフェッショナルサラリーマン――実践Q&A編」について:
本連載は、俣野成敏著、書籍『プロフェッショナルサラリーマン――実践Q&A編』(プレジデント社)から一部抜粋、編集しています。
『プロフェッショナルサラリーマン』と『図解版 プロフェッショナルサラリーマン』で熱狂的支持を集めた俣野成敏氏、待望の新刊。
プレジデント社のWebサイト「PRESIDENT Online」に寄せられた仕事や職場に関するビジネスマンの悩みに俣野氏が答えた、リアルなQ&Aをまとめた1冊。
上司部下、同僚との関係や、職場環境、キャリアや勉強法まで様々な悩みを、“いま"という時代を捉えつつ俣野氏が鮮やかに回答した47編のQ&A。
Web上には露出せず書籍のみに収録したQ&A特別編数点のほかに、日本一有名なサラリーマン「島耕作」の作者、弘兼憲史氏と俣野氏との対談も特別収録した。組織、仕事、そしてプロとは何か……。
真のプロフェッショナル2人の言葉があなたの未来を拓く!
(Q)私の仕事の立ち位置について相談させてください。私は管理系の事務職(労務関係・経理関係)に従事しています。その立場から、管理職の方々に進言することがあるのですが「生産性のない部門に言われても……」と一蹴されてしまいます。自分の実力不足を補うため勉強もしているのですが、そのように言われるとやる気を喪失してしまいます。事務職は何をモチベーションにして仕事をしたらいいでしょうか。(土木工事業、女性、36歳、入社6年目)
(A)これはどの会社にもよくある部門間の対立の構図かもしれませんね。
確かに営業などの直接部門は努力が売り上げという結果になって見えやすい。しかし経理や総務などの間接部門にはそういう分かりやすい成果の尺度が見つけにくい。
そのためお金を稼いでくる営業が「俺たちがお前らを食わせてやってるんだ」という態度をとって他部門を下に見る、ということはよくあることです。これはある程度は仕方がない。
しかし間接部門にも、本当は尺度があります。それは他社がその仕事のやり方を自社でも取り入れたいと思うかどうか。
簡単に言えば、そのやり方が売り物になるかどうかです。
「経理や総務はその会社独特のルールがあるから、他社に応用するのは難しいのでは?」と思うかもしれません。でも実は間接部門の仕事にも、マーケットが確実に存在しています。
僕が勤めていたメーカーでは、横河電機という会社のつくった「横河方式」という海外駐在員の人事制度のパッケージを購入したことがあります。その導入によって海外駐在員の職務規定は一変しました。
そういう会社はほかにもたくさんあると思います。この方式を編み出した人は、横河電機の社内で高く評価されたはずです。なぜなら、社内のためにつくった制度が、社外からのお金を獲得する価値をもたらしたからです。
また僕が社内ベンチャーでアウトレットの流通を創業したころ、先輩の社員にエクセルをベースにした在庫管理と棚卸のシステムを組んでもらったことがあります。日常業務で必要な細かい要求に合わせていくつものバージョンアップを積み重ねてもらった優れたもので、商品管理を一変させることができました。おかげでそのシステムは、どこかの会社がお金を出して買ってもおかしくないものになりました。
間接部門にとって、「これ、外に売れるよ」というのは最高のほめ言葉です。
自分の仕事の評価者を他部門の人に設定するから評価されずに苦しくなるのであって、マーケットに設定すれば、ほかの部門に何を言われようと、「あんたたち、分かってないわね」と冷静に受け止められるのではないでしょうか。
もしくは仮に転職することになっても、「私はこの会社でこういうシステムをつくりました」と言えれば、これ以上の武器はない。その点をモチベーションにするのも、1つの手だと思います。
でも、仮に外に売れるくらいすごいシステムをつくったからといって、急に給料が倍になるわけでもないのがサラリーマンというものです。そのときは何をモチベーションとすればいいか。
それは、今より大きな仕事をもらうことだと思います。
自分のつくったシステムは、後輩に任せても回っていくようになった。そこで自分は今より一回り難しい仕事、ワンランク上の仕事を任されることを目指すようにしてはどうでしょうか。プロフェッショナルサラリーマンにとって、仕事の報酬は今より大きな仕事なのです。
今はあなたに任せられそうな適当な案件が上司の引き出しにないとしても、新しい案件は必ずや時代とともに出てきます。
これからは会社間の吸収合併などで、間接部門においても他部門との統廃合などが起きることが多い。そうなれば必ずひずみが生じます。
そのとき「これ、誰にやらせようか」という仕事が生まれる。そのときがチャンスです。こんなふうに考えれば、どんな職種でもモチベーションを失うことはないはずです。
それから念のために申し添えておきますが、「管理職の方々に進言することがある」という文面から察するに、あなたは他部門の管理職の人たちに、じかに進言をしているように見受けられます。これは会社がよくなるための提案をしているわけですから、決して間違ったことをしているわけではありません。
でもこういうときは、もう少し戦略を練ったほうがいい。今のままでは進言の内容が的を射ていればいるほど、嫌悪感を示されると思います。
あなたの役職は分かりませんが、もしヒラ社員や係長くらいだとして、他部署の課長や部長に直接意見を言っているのだとすれば、そのやり方はまずい。他部門とのネゴシエーションは同じ立場の人がやるからネゴシエーションになるわけであって、そうでないなら「引っ込んでろ」と言われても仕方がないでしょう。
言いたいことがあるときは、直属の上司を動かして、部長なら部長、課長なら課長同士の会議で言ってもらうように仕向けることです。
正しいことを言っているのに、言い方がまずいせいで一蹴されるのではもったいない。上司の力をうまく使うのも部下の実力です。
せっかくいろいろと勉強を始められたのですから、仕事内容はもちろん、達成方法にも工夫を施しましょう。
会社全体のためという方向が間違っていなければ、いかに達成するかの方法論ですから、やる気を失うことなく前に進めてください。
・間接部門の価値はノウハウの価値で計れる
(つづく)
●著者プロフィール:
俣野成敏さん
1993年、シチズン時計株式会社に入社。安息の日々もつかの間、社の赤字転落によって30歳でリストラ候補になり、転職、起業の余地がないダメ社員に未来はないと一念発起。役職経験・小売経験・有力人脈を一切欠いたまま、メーカー直販在庫処分店を社内起業。老舗メーカーの古い価値観を逆風に受けながら、30代の内に年商14億企業に育てあげる。その功績が認められ、33歳でグループ130社の現役最年少の役員に昇進し、さらに40歳で本社償還、史上最年少の上級顧問に就任する。この体験を元に執筆した著書『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社)はシリーズ累計11万部のベストセラーに。amazon.co.jp の2012年間ランキングや啓文堂ビジネス書大賞等に入賞。2012 年、独立。複数の事業経営の傍ら、私塾プロ研を創設しプロフェッショナルサラリーマンの育成に力を注いでいる。
本連載は、俣野成敏著、書籍『プロフェッショナルサラリーマン――実践Q&A編』(プレジデント社)から一部抜粋、編集しています。
『プロフェッショナルサラリーマン』と『図解版 プロフェッショナルサラリーマン』で熱狂的支持を集めた俣野成敏氏、待望の新刊。
プレジデント社のWebサイト「PRESIDENT Online」に寄せられた仕事や職場に関するビジネスマンの悩みに俣野氏が答えた、リアルなQ&Aをまとめた1冊。
上司部下、同僚との関係や、職場環境、キャリアや勉強法まで様々な悩みを、“いま"という時代を捉えつつ俣野氏が鮮やかに回答した47編のQ&A。
Web上には露出せず書籍のみに収録したQ&A特別編数点のほかに、日本一有名なサラリーマン「島耕作」の作者、弘兼憲史氏と俣野氏との対談も特別収録した。組織、仕事、そしてプロとは何か……。
真のプロフェッショナル2人の言葉があなたの未来を拓く!
(Q)私の仕事の立ち位置について相談させてください。私は管理系の事務職(労務関係・経理関係)に従事しています。その立場から、管理職の方々に進言することがあるのですが「生産性のない部門に言われても……」と一蹴されてしまいます。自分の実力不足を補うため勉強もしているのですが、そのように言われるとやる気を喪失してしまいます。事務職は何をモチベーションにして仕事をしたらいいでしょうか。(土木工事業、女性、36歳、入社6年目)
(A)これはどの会社にもよくある部門間の対立の構図かもしれませんね。
確かに営業などの直接部門は努力が売り上げという結果になって見えやすい。しかし経理や総務などの間接部門にはそういう分かりやすい成果の尺度が見つけにくい。
そのためお金を稼いでくる営業が「俺たちがお前らを食わせてやってるんだ」という態度をとって他部門を下に見る、ということはよくあることです。これはある程度は仕方がない。
しかし間接部門にも、本当は尺度があります。それは他社がその仕事のやり方を自社でも取り入れたいと思うかどうか。
簡単に言えば、そのやり方が売り物になるかどうかです。
「経理や総務はその会社独特のルールがあるから、他社に応用するのは難しいのでは?」と思うかもしれません。でも実は間接部門の仕事にも、マーケットが確実に存在しています。
僕が勤めていたメーカーでは、横河電機という会社のつくった「横河方式」という海外駐在員の人事制度のパッケージを購入したことがあります。その導入によって海外駐在員の職務規定は一変しました。
そういう会社はほかにもたくさんあると思います。この方式を編み出した人は、横河電機の社内で高く評価されたはずです。なぜなら、社内のためにつくった制度が、社外からのお金を獲得する価値をもたらしたからです。
また僕が社内ベンチャーでアウトレットの流通を創業したころ、先輩の社員にエクセルをベースにした在庫管理と棚卸のシステムを組んでもらったことがあります。日常業務で必要な細かい要求に合わせていくつものバージョンアップを積み重ねてもらった優れたもので、商品管理を一変させることができました。おかげでそのシステムは、どこかの会社がお金を出して買ってもおかしくないものになりました。
間接部門にとって、「これ、外に売れるよ」というのは最高のほめ言葉です。
自分の仕事の評価者を他部門の人に設定するから評価されずに苦しくなるのであって、マーケットに設定すれば、ほかの部門に何を言われようと、「あんたたち、分かってないわね」と冷静に受け止められるのではないでしょうか。
もしくは仮に転職することになっても、「私はこの会社でこういうシステムをつくりました」と言えれば、これ以上の武器はない。その点をモチベーションにするのも、1つの手だと思います。
でも、仮に外に売れるくらいすごいシステムをつくったからといって、急に給料が倍になるわけでもないのがサラリーマンというものです。そのときは何をモチベーションとすればいいか。
それは、今より大きな仕事をもらうことだと思います。
自分のつくったシステムは、後輩に任せても回っていくようになった。そこで自分は今より一回り難しい仕事、ワンランク上の仕事を任されることを目指すようにしてはどうでしょうか。プロフェッショナルサラリーマンにとって、仕事の報酬は今より大きな仕事なのです。
今はあなたに任せられそうな適当な案件が上司の引き出しにないとしても、新しい案件は必ずや時代とともに出てきます。
これからは会社間の吸収合併などで、間接部門においても他部門との統廃合などが起きることが多い。そうなれば必ずひずみが生じます。
そのとき「これ、誰にやらせようか」という仕事が生まれる。そのときがチャンスです。こんなふうに考えれば、どんな職種でもモチベーションを失うことはないはずです。
それから念のために申し添えておきますが、「管理職の方々に進言することがある」という文面から察するに、あなたは他部門の管理職の人たちに、じかに進言をしているように見受けられます。これは会社がよくなるための提案をしているわけですから、決して間違ったことをしているわけではありません。
でもこういうときは、もう少し戦略を練ったほうがいい。今のままでは進言の内容が的を射ていればいるほど、嫌悪感を示されると思います。
あなたの役職は分かりませんが、もしヒラ社員や係長くらいだとして、他部署の課長や部長に直接意見を言っているのだとすれば、そのやり方はまずい。他部門とのネゴシエーションは同じ立場の人がやるからネゴシエーションになるわけであって、そうでないなら「引っ込んでろ」と言われても仕方がないでしょう。
言いたいことがあるときは、直属の上司を動かして、部長なら部長、課長なら課長同士の会議で言ってもらうように仕向けることです。
正しいことを言っているのに、言い方がまずいせいで一蹴されるのではもったいない。上司の力をうまく使うのも部下の実力です。
せっかくいろいろと勉強を始められたのですから、仕事内容はもちろん、達成方法にも工夫を施しましょう。
会社全体のためという方向が間違っていなければ、いかに達成するかの方法論ですから、やる気を失うことなく前に進めてください。
・間接部門の価値はノウハウの価値で計れる
(つづく)
●著者プロフィール:
俣野成敏さん
1993年、シチズン時計株式会社に入社。安息の日々もつかの間、社の赤字転落によって30歳でリストラ候補になり、転職、起業の余地がないダメ社員に未来はないと一念発起。役職経験・小売経験・有力人脈を一切欠いたまま、メーカー直販在庫処分店を社内起業。老舗メーカーの古い価値観を逆風に受けながら、30代の内に年商14億企業に育てあげる。その功績が認められ、33歳でグループ130社の現役最年少の役員に昇進し、さらに40歳で本社償還、史上最年少の上級顧問に就任する。この体験を元に執筆した著書『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社)はシリーズ累計11万部のベストセラーに。amazon.co.jp の2012年間ランキングや啓文堂ビジネス書大賞等に入賞。2012 年、独立。複数の事業経営の傍ら、私塾プロ研を創設しプロフェッショナルサラリーマンの育成に力を注いでいる。